溺れ死にたかった。はずだった。


飲み込んだ涙はどこにもいかない。
あなたを好きになって知ったことだった。

身体を満たすまで、一滴一滴、音を立てながら深みを増していく。
涙で溺れ死ぬ時が来るのを静かに待っていたわたしは、その音にどこか懐かしさを覚える。
あぁ、あの朝すぐ隣に聞こえた心臓の鼓動だろうか。
いや、あの夜わたしたちを濡らした雨の音かもしれない。

そんなことを考えているうちに、身体は水でいっぱいになるだろう。
やっと楽になれる。
すべてが終わる。
そんな思いも束の間、身体は、小さな爆発を起こしたように弾けるんだ。

わたしは粉々になった自分を拾い集める。
それらしく並べて、繋げてみる。
あんなに終わりを望んでいたのに、一度からっぽになった身体は、もう少しだけ、と動き出す。
そうして、はりぼての身体に、性懲りもなく水を湛えるのだろう。