夕方の化粧室


この間、夕方過ぎの化粧室でメイクしてたら、仕事帰りなのかな、いわゆるオフィスカジュアルみたいな装いのきれいなお姉さんが入ってきて、わたしの隣に立った。
ちょっと直すだけだったみたいですぐに行っちゃったんだけど、去り際に一瞬だけ、鏡越しに目が合ったの。ふと、同時にお互いを見たの。

ただそれだけなんだけど、すごくドキドキしたし、ヒリヒリした。
あぁ、わたしも彼女もオンナだ、綺麗になりたいし、負けたくないんだ。

「男を男にするのは女の役目だけど、女は自分で女になる」んだって。
中学の頃の担任が言っていた。
教育者としてはちょっとどうなのって気もするけど、一人の女性としては素敵な言葉だと思う。

ふと、わたしはいつオンナになったんだろうって考えた。
だって、いつの間にか知っていた。
一着のワンピースが気持ちまで着替えさせてくれたりすることも。
丁寧に整えたネイルがいつもよりちょっと自信をくれることも。
恋が加速していくのと比例して口紅と香水の減りが早くなることも。

着て、脱いで、着て、脱いで、
うんと綺麗になりたい。
綺麗だよって言われたい。
わたしはオンナをやめられない。